『終わらない人 宮崎駿』

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 『終わらない人 宮崎駿』(再放送/初回は昨年11月のようです)を見ました。マラソン以外でテレビに釘付けになったのは久しぶりです。2013年引退を表明した宮崎駿監督のその後を追ったドキュメンタリーで、それでもなおアニメを作り続けざるを得ない、宿命のようなものに葛藤する宮崎駿監の日々に引き込まれました。
 外部若手クリエーターの力を借りて、オリジナルのCGアニメ『 毛虫のボロ』を制作しようとするのですが、そのこだわりが半端ない。結局、自分が納得するまで手直しを行い、わずか10分の作品に3年以上を費やすことになるのです(公開は現時点でも未定)。若手クリエーターたちは最初は「基本の動きさえ決まればあとはサクサク進みそう」と余裕の表情だったのですが、度重なる監督からの修正要請に疲弊していきます。結局監督は、CGの機械的、無機質、あるいは計算された動きに納得がいかず、自分の動きにしていこうとするのです。
 CGアニメーターからすれば、たまったものではありません。CGによるアニメ製作が主流になり、王道のやり方で製作しているにも関わらず、あれこれ口を出されやり直しの連続、最終的には「手描き」のほうがいい作品になるんじゃね?的な空気が漂いはじめます。
 すべて自分がやらないと気が済まない、さらに絵がうま過ぎるために、誰も何も言えなく、やれなくなってしまうのです。ここらあたりの唯我独尊性=宮崎駿監以降のジブリが続かない理由を宮崎監督はじゅうぶんに認識しており、今回も製作続行の可否に関する話し合いがもたれます。
 宮崎監督はそうしたすべてのものを飲み込み、「めんどくさい、めんどくさい」と言いながらも決して手を休めようとせず、一本また一本と鉛筆で線を描いていきます。徒労を重ねることでしか辿り着けない、そうすることでしか表現できない絵を完成させていく。あきらめることなく、CGに自身の線を重ねていく姿に、『終わらない人』を感じました。

 老境にさしかかり終わりが近づくことを悟りつつ、だからこそ今何をすべきなのか、葛藤を続ける宮崎監督を追った、すばらしいドキュメンタリーでした。

 年明けからずっと体調が悪く、走る人を眺めているしかなかったのですが、ようやく回復してきました。来週には走ることができそうです。