年末特別

 

 約3年ぶりの帰省。両親も含め温泉宿に逗留した。今年は家族をほぼ放置していたので、お詫びの意味も込めて奮発したというわけだ。そこはMという老舗の温泉宿で、よくもまあこんなところにと思うほど山奥にあり、曲がりくねった山間の細い道を抜けてようやく辿り着いた。山の谷間のわずかなスペースに建物はあり、おそらく冬の日照時間はわずかだろう。

 降り積もった雪、凍り付いた路面、冷えた濃密の空気がすべての風景の動きを止めてしまったかのように、ほとんど動きのない、音のない、とても閉ざされた静かな場所。そんな寂寥感ある風景がマイナスというよりもむしろ好印象なのは、久しぶりに自然本来の姿や形を眼にすることができたからだと思う。

 宿は暗めの照明に重厚な調度品、余計な案内や広告は存在せず、スタッフも必要最小限の対応で、落ち着いた雰囲気を大切にしているようだった。そんな中でのんびりと温泉に浸かり、おいしいご飯を食べ、よいひと時を過ごすことができた。